微分方程式[4] – 定数係数n階線形微分方程式の練習問題

参考文献: Schaum’s Outline of Differential Equations, 3ed (Schaum’s Outline Series), やさしく学べる微分方程式

 前回の内容は、あまりにも多くて例題を載せられなかったため、ここでまとめて乗せておきます。パターンの重複は避け、重要と思われるものを一通り網羅しました。これらは全て解けるようにした方がよいです。そうでなければ今後苦労が待ち構えることになります。逆に言うと、ここにある問題が全てできるようになれば、微分方程式の授業は全て寝ていても大丈夫です。復習や予習に使って下さい。
 このサイトでは「微分方程式」と題したシリーズは第五回以降も続きますが、第五回以降は主にベッセル方程式やルジャンドル方程式といったものの解法、特殊関数の話がメインになるため、たいていの学校の微分方程式の授業はこの第四回までのレベルで終わりでしょう。

1. 二階定数係数同次方程式の解法[1] – 最も簡単な場合

 一番簡単な同次方程式から紹介していきます。まずは非常に解きやすいものから。

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これは、同次形ですから、特性方程式から求めた同次解がそのまま一般解になるパターンですね。これは、解を

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と仮定するのですね。これを方程式に代入し、

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となりますが、e の累乗は絶対に 0 にならないので、これを割って

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が得られます。これを特性方程式というのでした。結局、特性方程式はこんな面倒な手順を得なくても、微分階数を λ に置き換えれば同じことなので、以降ここまでの手順は省略します。これを解くと、λ=2, -1 が得られます。したがって、同次解はこの二つの解の線形結合

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を得ます。これでおしまいです。同次方程式は、積分演算が一切出てこないのが特徴ですね。積分は微分と違って、頭を使う演算ですから、積分が出てこないのは非常に楽です。

2. 二階定数係数同次方程式の解法[2] – 特性方程式が重解をもつ場合

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この特性方程式は

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なので、明らかに λ=4 の重解です。したがって、重解の場合は二つ目に x をくっつけないと基底が二個になりませんから

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が一般解です。

3. 二階定数係数同次方程式の解法[3] – 特性方程式が虚数解の場合

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の特性方程式は明らかに虚数解 λ=±2i を持ちます。この場合、λ=a±bi のうち、a=0 にあたるので、e の項は e のゼロ乗、つまりe がなくなって sin, cos だけが解となります。したがって、

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が一般解となります。この基本 3 パターンについては、よく訓練しておくことが必要です。

4. n階定数係数同次方程式の解法[1] – 三階以降の方程式

 三階以降の同次方程式も、解法は全く一緒ですが、少し面倒です。

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三次になろうがどうなろうが、やり方は一緒。

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という三次方程式を解けばいいだけですね。この手の方程式の解法は、高校のときやったように、まず整数が解であることを疑います。x = ±1, ±2, ±3 あたりまで試行錯誤です。これでだめなら分数を疑います。この場合、幸いにも、-2 を代入すると方程式が成立するため、λ=-2 が解であることがわかります。なので、この方程式の左辺は λ+2 を因数として持ちますから、残りはこの左辺の多項式を (λ+2) で割って二次方程式にしてから解けばいいんですね。

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したがって、特性方程式は

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と書き直されます。ですが、この二次方程式は実数解を持ちません。なぜならば、D=64-72=-8 < 0 だからです。したがって、λ は実数解と虚数解混じって、

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であることがわかりました。以上から分かる解の線形結合を取ればいいので、

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が一般解となります。

5. n階定数係数同次方程式の解法[2] – 三階以降で重解を含む場合

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 たいへんな階数になっておりますが、解くのは案外簡単です。まあそれでも割り算が面倒ですけどね。特性方程式は

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です。やっぱり整数から試行錯誤というわけですが・・これは結構簡単に見つかります。λ=1 がこれを満たしますね。だからまず λ-1 で割ります。

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こうなったので、

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と、λ = -1 (2 重解), 1 (3 重解) であることがわかりました。重解がある場合はそれぞれの重複度に応じて x をかけた項を付け足さなければなりませんから、一般解は

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で与えられます。同次解の求め方はこれだけ押さえておけばほぼ問題ないと思います。

6. 非同次方程式の解法[1] – 未定係数法 (非同次項が多項式の場合)

 次に、実際に非同次方程式を解いてみたいと思います。

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非同次でも、前回の理論から、まず同次解を求めます。同次解はこの記事の 1 の問題と同じです。なぜなら、同次形、つまり右辺を 0 にすると

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になるからです。したがって、同次解は

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なのがすぐに分かります。あとは特解ですが、非同次項は二次の x の多項式であるため、未定係数法より、

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と仮定すればいいですね。で、これは二階微分方程式なので、二階微分まで求めます。

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特解は非同次方程式を満たさなければなりませんから、これらを直接非同次方程式に代入し、係数比較します。

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以上から、係数を比較して、連立方程式が立ちます。(定数部分の真ん中が a1 なのに間違えて a0 になっています。修正しておいてください。)

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この解はすぐわかりますね。

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したがって、特解は

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なので、上の同次方程式の一般解は

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であることがわかりました。(定数係数で線形の、以下省略) 非同次方程式も、未定係数法を使えば積分を出さずに解けるので楽です。

7. 非同次方程式の解法[2] – 未定係数法 (非同次項が e の指数関数の場合)

 未定係数法のなかでも、非同次項が e の指数関数のみである場合は非常に楽です。

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同次解はすぐに分かります。λ=1 の二重解ですから、

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です。特解は、同次解のいかなる基底ともかぶっていませんから、未定係数法により、非同次項と同じ指数をもつ指数関数

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で仮定できます。これを代入すると、

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から、a=3 であるのは明らかなので、以上から一般解は

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というように求まります。すごく簡単に解けましたね。

8. 非同次方程式の解法[3] – 未定係数法 (非同次項が三角関数の場合)

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 同次解は、この程度ならそろそろ暗算で出せると思います。

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問題の非同次項ですが、これは三角関数であるため

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と仮定します。あとは微分して代入すれば、

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なので、連立方程式

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を解けばよいだけであることがわかります。

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なので、特解が

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と決まったため、一般解は

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ということが分かりました。

9. 非同次方程式の解法[4] – 未定係数法 (非同次項が上記の和の組み合わせの場合)

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これは、6 と 8 における非同次項の和になっています。同次解は重ね合わせが可能でしたから、同次解とそれぞれ片方の項しかなかったと仮定した場合に得られた特解の和 (ようするに 6 と 8 の特解の和) が特解となります。以上から、

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で終わりです。もし、一からやる場合は

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と一気にやってしまうのが、効率がよいでしょう。

10. 非同次方程式の解法[5] – 未定係数法 (非同次項が上記の積の組み合わせの場合)

 問題集の問題より実際にどこかの試験で出題されたような問題の方がよいと思いここから取ってきてみました (ただし、このサイトには問題は豊富にあるが答えは全く用意されてない模様)。こちらのサイトにたくさんある試験問題は大学の 3 年生からの編入試験問題のようで、大学の基礎数学の実践問題としてはちょうどいい難易度の問題が数多くあります。解説どころか答えが全く無いことが残念な点です。

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(1) 基本解は、同次解のことなので、

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について解けばいいですが、特性方程式は (λ-1)(λ-2)=0 ですから λ=1,2 なので (またしても p と h を間違ってしまったので h になおしておいてください。)

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となります。1 次独立性を確かめるためには次のロンスキー行列式

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が 0 でないことを確かめればよいので、実際に計算すれば

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となり、1 次独立性が確かめられました。
 次に (2) ですが、これは未定係数法で仮定できる解の積の形になっているので、上だと指数関数と三角関数の積の一般形

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で仮定し、二階微分までを求めてから方程式に代入する方針でやれば解けます。

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を代入し、

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なので、連立方程式

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から、

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を得ます。したがって、特解は

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となります。積で組み合わさると手間が結構増えますが、やることは一緒です。

11. 非同次方程式の解法[6] – 未定係数法 (特殊解の項と同次解の項が被る場合)

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 この問題はヒントが与えられており面白くないのですが、前回紹介した “任意定数は無視して、仮定した特解に同次解とかぶる項があった場合は、ひとつもかぶらなくなるまで x の累乗をかけたものを特解と仮定しなければならない” というルールを思い出さないといけない問題です。
 同次解について、明らかに λ=-1 の二重解ですから、(下の画像は、編集ミスで第一項の指数が x になっていますが正しくは -x です。)

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となります。ここで、特解は e の -x 乗としたいところですが、同次解とかぶってしまっていることに注目します。なので、かぶらないように x をかけますが、 x をかけても同次解の二つ目の項とかぶってしまいます。結局、x の二乗をかけて

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とおかなければ解くことができません。ここが問題のスタート地点です。
 あとはやはり微分して代入して係数比較するだけになります。

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を代入し、

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より、A=1/2 であることがわかったので、特解と一般解は

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で定まりました。

12. 非同次方程式の解法[7] – 定数変化法 (二次線形微分方程式の特解の解の公式)

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 まさか前回書いた方法がそのまま問題になっているとは思っていなかったのですが、定数変化法の練習としてもう一度試してみます。
 まず、問題文より、仮定された特解は

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なので、これは当然、非同次方程式

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を満たさなければなりませんから、z(x) の微分を先に求めるとこちらは積の微分法則により

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ですが、与えられた条件

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より、dz/dx の左の二つの項は消滅し

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でよくなりました。二階微分は

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なので、このまま代入して

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を得ますが、y1、y2 はいずれも同次解ですから、かっこの中はまさに与えられた方程式の同次形の左辺なので、恒等的に 0 になります。したがって、

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を得ます。問題文に仮定されている条件も合わせると、c1, c2 の微分に関する連立方程式

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ができあがります。ここで、クラメールの公式より、また、与えられた行列式 W、ここでは名前が出ていませんがロンスキー行列式がクラメールの公式における係数行列になっていることに注意すれば

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具体的に計算すれば

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となりますから、これらを求めるためには積分をするだけでよく

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と求まりました。したがって、最初の z に代入すれば、特解は

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であることが示されました。
 上では積分の中身が x’ となっていますが、これは積分外部の関数の変数 x とかぶらないように x’ としてあるだけです。厳密にはそのような表記にするのが正しいのですが、こちらでは誤解がない限りそのままの簡単な表記をとることにします。

13. 非同次方程式の解法[8] – 定数変化法 (一階線形微分方程式の解の公式)

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 一見難しそうに見えますが、上の問題でやった定数変化法の手順を一階線形微分方程式の場合に適用すると、定数変化法とは別の方法で出した一階線形微分方程式の解の公式が導出できる、という問題なので、上よりは難易度は低いと思います。あと、非常に見づらいですがすごく小さい積分マークが下の方の式についてるのを見落とさないようにしましょう。なお、この問題は今まで一階線形微分方程式だけ二階以降と別物であるかのように紹介したが、実は本質的には全く異なるものではなく、一緒なものであることもいっているので、なかなか意味のある問題だと思います。
 (1) まず、同次方程式は、非同次項、ここでは Q(x) を 0 とした方程式なので

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つまり (ア) は 0 となります。変数分離形と書いてあるので、変数分離形で解くと

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なので、積分して

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あとは、y について解けばいいので (以下、おきなおすのが面倒なので任意定数は全部 C のままにします。厳密には全ておきなおしが必要です。)

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最後は、±C を C とおいても任意性は変わらないので、絶対値を外すことができますこれが (イ) ですね。ここで、定数変化法を用いて、定数 C が x の関数 C(x) であったと仮定すれば、

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となります。一階の場合はひとつしか条件が必要ありませんから、一度だけ微分して非同次方程式そのまま代入すればよいので

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となります。すなわち、C'(x) について解くと

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なので、これが (ウ) です。あとは両辺を積分すれば

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と定まるので、このまま代入して一階線形微分方程式の解の公式

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を得ます。
 (2) 以上から、定数変化法とは、同次解における任意定数を x の関数であったと仮定し、縛られた条件のもと (特に一階の場合は非同次方程式を満たすという条件のもと) 自由に動かすことで、非同次方程式の特解を得ようとする方法であるのがわかります。同次にしたばかりに失われた非同次項の動きを C を x の関数として動かすことで補填するものだ、と考えてもよいかもしれません。
 (3) もうこれはほぼ定数変化法とは関係ないですね。ボーナス問題みたいなものです。公式に当てはめるだけで OK ですが、公式がでて来た経緯を理解しないと、間違えて P(x) の積分に任意定数を出したりするかもしれませんよ。、この公式の積分は全てあらかじめ積分定数を出してから計算したものなので、いずれも任意定数を積分演算によって出す必要はありません。

14. 一階同次形 / 一階線形微分方程式 / 未定係数法

 最後に、[1] の例題も掲載しておきます。別に出題された大学名に怖じ気づく必要はありません。少なくともこの問題に関しては非常に手順に対して素直です。

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(1) (a)

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一見どうしようもなさそうに見えますが、よく見るとこれは一階の同次形になっています。つまり、

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は、2 次の同次形であることがわかります (一階微分方程式における同次形の定義は、標準形の右辺 f(x,y) を tx, ty におきかえても f(x, y) といまだ等しい、というものだったから)。したがって、y=ux という置換が有効です。[1] で確認したとおり、このようにおけば必ず変数分離形になります。

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ですから、これらを等しくおいて

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となり、これは確かに変数分離形ですから、あとは普通に変数分離形の手順で

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なので、先ほどの u を戻せばおわりですが、log や絶対値が気持ち悪い場合は、

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と解くこともできます。しかしやはり明示的に y で解くことはできません。基本的に、綺麗な形に直すかどうかは個人の判断であって、x と y の関係式さえ出ればそれで方程式は解けたことになるのですから、陰関数形式のままで放っておいても正解になります。美しい形にしたいかどうかはお好みでってとこですね。特に一階微分方程式は基本的に線形なものしか扱わない二次以降とは違い、このように明示的に y について解けない関係式が解である問題が多くあります。
 (b) は、前回の最後にも登場した一階線形微分方程式の解の公式を使えばよい問題です。まず、P(x) にあたる 2 cos x の積分を行います。

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あとは、公式

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を適用しますが、ここで変な形の積分が現れました。この積分についてもうちょっと詳しく見てみると

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なので、置換積分を使うことができます。t=2 sin x とすれば

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となりました。あとは部分積分すればいいだけですね。

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ということがわかったので、あとは、元の式に代入すれば

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であることがわかりました。
 (2) 初期値問題は、まず一般解を求めてから代入して任意定数を確定させればよいので、一般解についてまず考えます。これは右辺に e の項があるため非同次方程式で、未定係数法で解ける問題ですね。そのまえに、同次解つまり

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の解から求めます。特性方程式

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なので、λ=-2, 1 であることはすぐにわかります。したがって同次解は

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と求まりました。次に特解ですが、そのまま e の x 乗と仮定すると同次解と解がかぶってしまうことに注意します。この場合は、かぶらないように x の累乗をかけなければならないのでした。今回は、x をかければいずれともかぶらないので、特解は

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と仮定しなければなりません。あとは、微分して代入すればいいだけです。

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これより、A=1 であるため、一般解は

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となります。次に、これと、さらにこれを一階微分したものに与えられた初期条件をあてはめ、任意定数に関する連立方程式を解きます。

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