部分分数分解のやり方

 高校・大学問わずよく出る部分分数分解。この記事は、実用的な側面からその具体的な使い方について探ります。証明など難しいことは避け、あくまでも実用的な “ツール” として、どういう方法で実行すればいいかというのが焦点です。

分子の次数はどこまで下がるか

 ある有理関数 $F(s)$ があるとします。有理関数というのは、(最も一般的な形では) 分数で書いてあって、分母と分子にそれぞれその独立変数 $s$ の多項式が並んでいるようなもの、つまり、

$$F(s)=\frac{X(s)}{Y(s)}$$

となるものをいいます。 $s$ が気味悪いなら $x$ でも $y$ でも何でも一緒です。ここで文字を $s$ にしたのは、部分分数分解が最もテクニックの一部として重要になるであろう「ラプラス変換」を想起させるために設定したもので、特に大きな意味はありません。
 有理関数には大事な性質があります。それは、分子の多項式の次数は、分母にある多項式の次数よりも小さくさせることができるというものです。もし、分子の方が次数が大きかった場合は、たとえば普通の分数 (有理数) で、分子の方の数が大きかったら「整数 + 分母の数よりも小さい分子を持つ分数」というふうに分解できたように、分母の次数よりも小さい分子を持つ有理関数の集団へと分解できるのです。たとえば、有理数だったら、$5/2$ が $2+(1/2)$ 、$19/4$ が $4+(3/4)$ になったりしました。割り切れない場合はどうしても分数があまりとして出てきますが、その分子は必ず分母よりも小さくなっているのが分かります。これと似たようなことが、有理関数でも成り立っています
 ここで、有理関数の割り算を思い出します。例として、以下のような関数だとしましょう。ここでは自分で計算を実践できるよう次数が3になっていますが、この項の個数を上下好きに増やせば一般の場合で、同様のことがいえます。

$$F(s) = \frac{b_3 s^3 + b_2 s^2 + b_1 s + b_0}{a_1 s + a_0}$$

この場合、分母の次数が 1、分子のそれは 3 なので、”この式の分子は 0 次 (定数) になるまで次数を下げられる” ことになります。本当にそうなのかは、分数の割り算を思い出せばなんとなく分かります。

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このおなじみ分数の割り算で、割った後上に出てくるのは “ここまでは割り切れた” という印であり、分数じゃない、普通の多項式として出てきます。 $2/5 = 2+ (1/2)$ でいったら、$2$ の部分です。そして、これで余った部分が、 $1/2$ に相当します。そう考えると、この計算は、まず $(b_3/a_1)s^2$ を出せば、三乗の項は割って、消せるでしょう。そして次は二次の項が降りてきますが、これも同様に、係数を具体的に書き下ろすと複雑になるものの、各 $a_k, b_k$ はただの定数に過ぎないので、その係数をかけたのち $s$ をかけてやれば、やはり消えるでしょう。一乗も、係数は複雑でしょうが何らかの定数をかければ消えるでしょう。ですが、ゼロ乗、つまり一番最後の定数項 $b_0$ だけは、割る数が $s$ の一次式なので、うまく消すことができません。つまり、ここだけ余ります。というわけで、分数も $1/2$ 、つまり “余った数 / 割る数” の形式の分数が商にくっついてきたように、こちらも “定数 / $s$ の一次式” というのだけが、分数として出てくることになります。これ以上は割れないわけです。
 このことから、$s$ の一次式を分母にもつ任意の有理関数は、分子が何次式であろうが、必ずゼロ次つまり “定数 / $s$ の一次式” まで分子の次数を落とせることが分かります。言い換えると、この場合は有理関数を “分数ではない $s$ の多項式” と、”定数 / $s$ の一次式” の和に分解できたということになります。全く同様に考えれば、分母が二次式なら一次式まで落とせる、$n$ 次式なら $n-1$ 次まで落とせることが直感的に理解できます。分数は割り算なので、分母の数で分子を割るんだと思えば、分母と同じ次数までは絶対に消すことができます。というわけで、任意の有理関数は

$$\begin{align}F(s)&=\frac{sのm次多項式}{sのn次多項式}\\ &= 分数でないsの多項式(m \geq n の場合のみ出る項) + \frac{sに関する、n-1次以下の多項式}{sのn次多項式} \end{align}$$

という風に分離できるらしいことがわかりました。
 確かにこういうふうには出来るだろうけど、そんなことを出来たとして何が嬉しいのか?という疑問もあります。しかしこれは、すごくうれしいことです。たとえばラプラス変換なんかは、うまく見知った形を有理関数から作り出さなければならないため、もし、上のようなことが出来れば、少なくとも商として、ただの多項式として出てきた部分はまとめてラプラス逆変換が容易にできるのです。
 ですが、それでも一番最後の項は、そのままラプラス逆変換するわけにもいかない (ことが多い) ため、困ってしまいます。しかし、(n-1 次以下の多項式 / n次多項式) の形式になっている項は、たいへん嬉しいことに、部分分数分解という手法によって、さらに簡単な多項式に分解できます。

部分分数分解

 分母が n 次としましょう。すると、それは n 個の (s- 定数 ) というかたちに因数分解できるでしょう。たとえば、2 次なら、(s-a)(s-b) といったかたちに必ず因数分解できます。それは、分母 = 0 の二次方程式を解いて、それぞれの解を a, b と定めれば済みます。仮に虚数解をもったとしても、虚数が出ることを認めるなら、それは複素数の範囲で因数分解可能といえます。3 次でも何次でも同様です。重解が出るときはとりあえず考えないことにして、最初は全ての解が違う場合について考えます。その場合は、

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という形式になっています。部分分数分解のアイデアは単純です。いま、あくまでも分母は因数分解しただけで、s に関するかっこが n 個かけられており、依然 n 次のまま、分子は何もいじってないので n-1 次以下のままです。これを、それぞれのかっこについてバラして、それらの和で表現できないか?と考えます。つまり、

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と仮定するのです。これを部分分数分解と呼んでいます。もしこうなって、うまく係数 An を決定できれば、それぞれの項についてラプラス変換が可能ですから、結果的に任意の有理関数をラプラス変換することが可能になる、というシナリオなわけです。
 でも、本当に、右辺を元の (s-a1)(s-a2)・・・ の積に通分して戻すと、分子は任意の n-1 次以下の多項式になるのでしょうか?答えは、こんな記事を作っているくらいなのだから、もちろんなります。次のように考えれば感覚的には理解できます。まず、右辺を通分してみましょう。

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となっているのですが、通分する際、自分の分母だけは上にかけてやる必要がないので、どの項も必ず、最高で s の n-1 次式になります。ということは、上の通分した結果を足せば、分子は必ず n-1 次式までにしかなることができません。あとは、s の次数ごとにまとめて、そのときの係数が、分解前の係数と等しいと置けば、未知数である An が決定できることになるので、部分分数分解が完了します。
 というわけで、次はどうやってこの係数 An を求めればよいかについてです。

部分分数分解のやり方 (ヘヴィサイドの展開定理) [1]

 分母を因数分解したとき、全てのカッコが異なっている場合は、

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という風に書けました。このときの An を求めるのは、非常に簡単です。通常のやり方では、やっぱり先ほどやったみたいに、両辺に元の有理関数の分母をかけて、 s の降べきの順に整理して、係数比較して・・・というのがありましたよね。高校まではそうでした。これは時と場合によるので絶対とは言いませんが、たいていの場合はそのような方法より、以下の方法を使った方が効率的です。たとえば、A1 を求めたいとしましょう。そういうときは、上の両辺に s-a1 をかけてみるのです。そうすると何が分かるか?といいますと、

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左辺は約分できますし、右辺も s-a1 をもつ項だけ、約分できます。

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全体に s-a1 をかけると、こうなるわけです。こんなので A1 が定まるかと思うかもしれませんが、この状態で s=a1 を代入してみましょう。そうです、そうすると、右辺の A1 以外の項には s-a1 がかかっているので、0 になってしまうのです。しかも、左辺のほうでは約分によって s-a1 を取り除いたので、別に s=a1 でも分母が 0 になったりすることがないのです。したがって、非常にうまい発想により、左辺はちゃんと代入できるし、右辺は A1 が生で出てくるしで

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と求まります。極限の形で表すのは、いきなり s=a1 と代入して表記すると、分母が 0 の不定形になってしまうからであり、たいした問題ではありません。他の係数も全く同様にして、結局、

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を得ます。これをヘヴィサイドの展開定理といいますが、正式にはこれは展開定理の特殊な (簡単な) 場合です。

展開定理の使い方

 分母が ($s$-なんとか) の積で因数分解でき、そのなんとかの部分は全て異なる (つまり、分母 = 0 という方程式の解が重解でない) 場合、どのように展開定理を適用して部分分数分解できるか、高校までのやり方と比較しつつ見ていこうと思います。

例題 : 次の関数 $F(s)$ を部分分数分解しなさい。
 
 $$F(s) = \frac{s+3}{s^2+3s+3}$$

まず、分母は明らかに因数分解できて

$$F(s) = \frac{s+3}{s^2+3s+2}=\frac{s+3}{(s+1)(s+2)}$$

となります。したがって、次のように、部分分数分解できると仮定することができます。

$$F(s) = \frac{A}{s+1} + \frac{B}{s+2}$$

$A, B$ は定数です。先ほど確かめましたが、分子の次数が分母より低いなら、このようにおいてもよいということです。あとはこの $A, B$ について方程式を作り、解くことになります。
 まず、高校までのやり方で求めます。分母が邪魔なので、両辺に $(s+1)(s+2)$ をかけます。

$$s+3 = A(s+2) + B(s+1)$$

 次に、$s$ の次数ごとに因数分解を行います。

$$(A+B+1)s + (2A+B-3) = 0$$

これが変数 $s$ によらず成立しなければならないので、それぞれの次数でくくったカッコについて、 $= 0$ が成立しなければなりません。したがって、以下の連立方程式が立ちます。

$$\begin{eqnarray}
\begin{cases}
A+B = 1 & \\
2A+B=3 &
\end{cases}
\end{eqnarray}$$

これをとくと $A= 2, B= -1$ となります。以上から、

$$F(s) = \frac{s+3}{s^2+3s+2} = \frac{2}{s+1} – \frac{1}{s+1}$$

ということがわかりました。
 次にこれを展開定理を用いて同じ結果となることを確認します。

$$F(s) = \frac{s+3}{s^2+3s+2} = \frac{A}{s+1} + \frac{B}{s+1}$$

までは同じです。次に、 $A$ は分母が $s+1$ なので、両辺に $s+1$ をかけ、その後 $s=-1$ を代入すれば $A =$ のかたちにできることがわかります。つまり、

$$\frac{s+3}{s^2+3s+2} = \frac{A}{s+1} + \frac{B}{s+1}$$

で、$A$ を求めたければ、その分母をかけることで

$$\frac{s+3}{s+2} = A + \frac{B}{s+2}(s+1)$$

となるので、このとき $s=-1$ を代入すれば、右辺の $B$ は消滅してしまうし、しかも左辺は $s=-1$ を入れてはまずいはずであった原因の $s+1$ が約分され消滅したので値が不定形にはならないことがわかります。これが、展開定理においてその式が

$$A_1 = \lim_{s \to a_1}{(s-a_1) F(s)} $$

という極限の形になっている理由です。極限の記号が出てくると難しく思えますが、これは以上のことから、単に、「そのまま代入すると $F(s)$ が不定形でまずいので、今約分してまずくない形に直すからちょっと待って」というだけのサインです。
 この状態で $s=-1$ を代入すると、

$$A=\frac{-1+3}{-1+2} = -2$$

という、とても簡単な計算で $A$ が求まってしまいます。慣れるともっと早く定数を定めることができるでしょう。結局、展開後の各係数を求めるためには、その係数の分母だけを展開前の関数から取り除いて、その係数の分母が 0 になるような $s$ の値を代入すればよいだけということになります。先ほどの極限で書いた式がそのことをそのまま表しています。同様に、$B$ もすぐ求めることが可能で、今度は両辺に $s+2$ をかけて $s=-2$ を代入すればよいだけです。

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これで係数がすぐに定まったので

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という結果を得られます。正攻法でやってもこの定理を使っても同じことなので、計算の手間が圧倒的に少ない展開定理を使った方がいいという結論になります (ただし、先ほども書きましたが、一概にはそうではありません。複素数の範囲で無ければ因数分解できない場合はこちらの方が手間がかかる場合もあります)。

例題2 : 次の関数 F(s) を部分分数分解しなさい。
 
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これは正面から因数分解しなければなりません。前問よりやや難しいですが、まだ高校数学の範囲といえます。まず、分母を p(s) 、分子を q(s) とします。

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このとき、分子 q(s) はすぐ因数分解できることがわかります (しかし、分子は因数分解しなくても別にいいです)。分母は、試行錯誤するしかありません。この場合は s=-1 で多項式が 0 になることが分かります。この辺は直感になりますが、たいてい s=プラスマイナス1 、2 ・・・でどうにかなります。なぜならば、そうでなければ人間の手では解けないからです。

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これは、分母多項式 p(s) は s+1 で因数分解できることを示しています。したがって割り算すれば

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となっています (このやり方の詳細はここでは述べないので数学 II の教科書でも見てください)。因数分解して出てきた片割れもさらに (s+2)(s+3) と因数分解できることがすぐにわかりますから、結局 p(s) = (s+1)(s+2)(s+3) となることがわかりました。これより、 F(s) は

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となります。そしてここからがスタート地点です。このように因数分解できたため、分母の各因数について

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と展開することができます。あとは係数 A, B , C を決定すればよいのですが、さすがに次数が三時にもなってくると、高校までのやり方は苦しくてやる気がなくなってきます。そこで展開定理を使います。展開定理によってどの係数も瞬時に求めることができ、

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(C の最終的な値は 2 と書いてありますが正しくは 1 です) これ以上ないくらいに丁寧に書くとこのようになりますが、実際の計算は既におわかりの通り一番右の式だけで結構です。どれも、10 秒もしないで出すことができるのです。

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あっという間にこの結論です。簡単ですね。この手法を知っていると部分分数分解の効率が向上するので是非修得することをおすすめしたいと思います。

部分分数分解のやり方 (ヘヴィサイドの展開定理) [2]

 次に、因数分解したとき分母多項式 = 0 としたとき重解がある場合、つまり分母が (s-a)(s-b)・・・ではなくたとえば (s-a)2 のようなものが入っている場合の対処法についてです。例として、

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というものを見ます (分母は 3 次なので分子は 2 次まで落とすことができ、それでこの表現です)。このような場合、部分分数の置き方に注意が必要です。一見すれば、今までのように

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とおくことで解決するように見えます。しかしこのように置いても、うまく行く場合もあるかもしれませんが、ほとんどの場合うまくいきません。このように分解できると仮定した場合、元の分母をそのまま両辺にかけて係数比較すると思います。今までの例で見てきたように、係数比較してみると、分母の次数と同じだけの数 (分母の次数を n とすると n-1 次から 0 次まであるので) の本数、式が連立されることがわかります。さらに、分母のかっこの数、つまり次数と同じだけ部分分数をおいたので、分母が n 次だったら n 個の未知数に関する n 本の式が独立して立っているので、解けるというわけです。
 上の場合はどうでしょう。3 次なので、2 次 (s の 2 乗)、1 次、0 次、係数比較すれば 3 本の独立した式が立つはずですが、未知数は 2 個しかありません。これは、上のように置いてしまうと未知数の個数よりも多い本数の式が独立して立ってしまうことを意味しています。そのような方程式は当然常に成立するわけではないため (どれか 1 本が他 2 本と同じ方程式になるなら解けますが)、結果的にほとんどの場合解けないことになってしまいます。そこで、二乗だけでなく一乗も加えてやった形で部分分数展開することになります。つまり、上の例のような場合は

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とするのが正式な形です。3 乗だったら 1 乗、2 乗の項もつけなければならないということですね。このようにすれば元の関数の分母をかけても形を複雑にすることなく、今まで通り係数比較して求めることが可能になるというわけで、上手い手法ですね。
 しかしながら、このような関数の部分分数分解は、次数が高いので無駄に手間がかかることになり、基本的にやっかいです。そこで、このように分母のかっこが 2 次、3次・・・となっている場合であっても、係数を簡単に求めるための方法がやはり開発されています。先ほどの展開定理のより一般的な形ということなのですが、その式は見た目ややこしいのでどういう発想で式に至るのか経緯を見てからにしようと思います。具体的な例で、次のようなものを考えます。

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これはすぐ上の話題より、次のように部分分数分解することが必要です。

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このとき、それぞれの係数を求めるにはどうすればよいでしょうか。B, C については思ったままのことをすれば大丈夫です。つまり、先ほどの展開定理とそのままのことをすれば事足ります。なぜならば、たとえば C (二次になっている s+1 とは無関係な項) は両辺にかけることで

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のようになり、ここから s=-2 を代入しても、左辺は約分して不定型ではないので代入可能であり、かつ右辺も C 以外はそのまま消滅してしまうことがわかります。ですので先ほどと全く同じ手法で即座に出せます。B も同様です。両辺に s+1 の二乗をかければ

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となるので別に問題ありません。しかし、A については注意が必要です。この分母を取り除くべく s+1 をかけても、

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となり、当たり前といえば当たり前ですが、かける次数が足りないため分母の不定形が解消できず、このまま s=-1 を代入してもどうしようもありません。そこで、これも初めて見るときはかなり技巧的だと感じるはずですが、上の式をじっと見る、のではなく、B を求めたときの式に着目します。

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これです。よく見ると、ここで両辺を微分すれば、

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ですが (上の dF(s)/ds は d(s+1)^2F(s) / ds の間違いになります)、微分すると係数 B は消滅し、A の隣についていた s の 1 次式は微分によって取れることがわかります。しかも、これから s=-1 を代入するという極限においては、合成関数の微分則より、 s+1 に無関係な C の部分も絶対に (s+1) は分子の部分に残るため消してもよいことがわかります。したがって、両辺を微分したら

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と、なんと係数 A だけが綺麗に残り、このような関係を導くことができます。これより、問題だった A は、機械的に

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と定めることができます。商の微分や合成関数の微分が苦手なら致命的ですが、そうでなければこの方法の方が圧倒的に早いと思います。
 要するに、上の式の場合、元からあった (s+1) の二乗と、s+2 の係数を求めることは簡単ですが、そうではない s+1 の一乗の係数である A を求めたければ、両辺 (s+1) の二乗をかけたときに余って出てきた s+1 を微分して 1 にしてしまえばいいんじゃないかという発想です。ということは、これが 3 次、4 次になると、階乗を使って表現しなければならないこともわかります。

(書きかけ)

「部分分数分解のやり方」への5件のフィードバック

  1. 貴重な情報ありがとうございました
    おかげさまでAnの求め方は分かりましたが
    anの計算方法がわかりません
    教えてください

  2. 計算もなにも、分母の an は分母の多項式を因数分解したときに出てくる数に他なりません。本日記事の続きを更新し、具体例で示したのでそちらをご覧ください。

  3. (A+B+1)s+(2A+B-3)=0の恒等式の
    A+B+1=0よりA+B=-1にならなければいけませんが、
    A+B=1となっています。

  4. 紹介してくださっていた部分分数分解の計算法感動しました。ラプラス変換で微分方程式を解く際、分母が重解のときの部分分数分解の計算に苦労していました。今回紹介してくださっていた手法、最高ですね!!ありがとうございました。

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